一般社団法人の基礎知識(目次)
一般社団法人は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(一般社団・財団法人法)に基づいて設立される非営利法人です。
一般社団法人の特徴
1.公益にとらわれない自由な事業展開が可能
一般社団法人は、公益を目的とすることを義務付けられていませんので柔軟に事業を展開することができます。
従来の社団法人から一般社団法人に移行した法人については、公益目的支出計画の実施中は公益目的支出計画に定めた事業を実施しなければならないという制限があります。
2.社員に剰余金等の分配を受ける権利を与えることができない
一般社団法人は、社員に剰余金、残余財産の分配を受ける権利を与えることができません。
3.自主的な運営が可能
一般社団法人は、行政庁の監督を受けることがないので法人の運営を自主的に行うことができます。
従来の社団法人から一般社団法人に移行した法人については、公益目的支出計画の実施中は行政庁に対する実施報告が義務付けられています。
4.一定の要件を満たせば税制上の優遇を受けることができる
非営利性が徹底された一般社団法人、共益的活動を目的とする一般社団法人については、法人税は収益事業についてのみ課税されます。
5.財産の拠出をすることなく設立することができる
一般社団法人は、社員2名以上で設立することができます。設立の際に資金を出資する必要はありません。
一般財団法人は、設立の際に、設立者が300万円以上の財産を拠出しなければなりません。
一般社団法人の機関
一般社団法人の機関設計には次の5つのパターンがあります。
- 社員総会+理事
- 社員総会+理事+監事
- 社員総会+理事+監事+会計監査人
- 社員総会+理事+理事会+監事
- 社員総会+理事+理事会+監事+会計監査人
どのような一般社団法人であっても、社員総会(すべての社員で構成)と理事(1名以上)は必ず置かなければなりません。それ以外の機関(理事会・監事・会計監査人)は必要に応じて設置していくこととなります。
理事会または会計監査人を置く場合には監事も置かなければなりません。
社員総会
社員総会は、一般社団法人の組織、運営、管理その他一般社団法人に関する一切の事項について決議することのできる機関です。
例:理事、監事及び会計監査人の選任及び解任等
理事会を置く場合には、一般社団・財団法人法に規定されている事項及び定款で定めた事項に限り決議することができます。
理事
| 必要な人数 | 1名以上
※理事会を置く場合は、3名以上 |
| 任期 | 選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終了の時まで ※定款の規定または社員総会の決議による短縮が可能。 |
| 役割 | 一般社団法人の業務の執行
※理事会を置く場合には、次の者が一般社団法人の業務を執行する。 ①代表理事 ②代表理事以外の理事であって、理事会の決議によって一般社団法人の業務を執行する理事として選定された者 |
| 注意点 | 同一の一般社団法人またはその子法人の監事との兼任は不可 |
理事会
理事会はすべての理事で組織され、次の職務を行います。
- 一般社団法人の業務執行の決定
- 理事の職務の執行の監督
- 代表理事の選定及び解職
理事会を置くには3名以上の理事が必要です。また、理事会は理事の中から代表理事を選定しなければなりません。
公益社団法人は、理事会(3名以上の理事で構成)を置かなければならないことになっていますので、一般社団法人設立後に公益認定申請を予定している場合には理事会を設置しておいた方が良いでしょう。
監事
| 設置を要する場合 | 理事会または会計監査人を置く場合 |
| 任期 | 選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終了の時まで
※定款によって、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終了の時までとすることができる。 |
| 役割 | 理事の職務の執行の監査 |
| 注意点 | 同一の一般社団法人またはその子法人の理事との兼任は不可 |
会計監査人
| 設置を要する場合 | 大規模一般社団法人(負債合計額が200億円以上の法人)である場合 |
| 任期 | 選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終了の時まで |
| 役割 | 一般社団法人の計算書類及び付属明細書の監査 |
| 資格 | 公認会計士または監査法人であること |
一般社団法人の定款
一般社団法人を設立するためには、2名以上の社員(法人の構成員)が共同して定款を作成しなければなりません。なお、この定款は公証人の認証を受けて初めて法的に有効なものとなります。
一般社団法人の定款に記載する事項は、次の3種類に分けることができます。
必要的記載事項
一般社団法人の定款に必ず記載しなければならない事項(必要的記載事項)は以下の7項目です。
- 名称
一般社団法人は、その名称中に「一般社団法人」という文字を使用しなければなりません。 - 目的
一般社団法人は、公益を目的とする事業にとらわれす、法令に違反しない範囲で自由に事業を展開することができます。 - 主たる事務所の所在地
- 設立時社員(一般社団法人の構成員)の氏名(名称)及び住所
- 社員の資格の得喪に関する規定
- 社員の資格の取得について
社員となるための条件が不当に差別的なものとならないようにしなければなりません。 - 社員の資格の喪失について
(原則)社員はいつでも退社することができます。
(例外)定款で別の定めをすることもできます。
⇒別の定めがある場合であっても、やむを得ない事由がある場合にはいつでも退社することができます。
(法定退社事由)定款で定めた事由の発生、総社員の同意、死亡または解散、除名
- 社員の資格の取得について
- 公告方法
一般社団法人は、公告の方法として次のいずれかを定めることができます。- 官報に掲載する方法
- 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
- 電子公告
- 主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する等の方法
- 事業年度(1年以内で定めなければなりません。)
相対的記載事項
必ずしも記載しなければならない事項ではありませんが、定款に定めておかないと法的な効力が発生しない事項(相対的記載事項)には次のようなものがあります。
- 社員の経費支払義務
社員に経費支払の義務を課すためには定款にその旨を定める必要があります。 - 理事会、監事及び会計監査人の設置
一般社団法人に理事会、監事及び会計監査人を置くためには定款にその旨を定める必要があります。 - 理事及び監事の任期の短縮規定
理事及び監事の任期は、定款に定めることによって短縮することができます。
任意的記載事項
法令に違反しない範囲で自由に記載できる事項
一般社団法人の税務
一般社団法人が次のいずれかに該当する法人である場合には、法人税は収益事業についてのみ課税されます。
<非営利性が徹底された法人>
事業により利益を得ることまたは得た利益を分配することを目的としない法人が該当します。
<共益的活動を目的とする法人>
会員から受け入れる会費により、会員に共通する利益を図るための事業を行う法人が該当します。
上記のいずれにも該当しない一般社団法人は、法人税法上、普通法人として取り扱われます。よって、法人税はすべての事業について課税されます。
一般社団法人の法人税率は30%です(所得金額年800万円以下の金額までは22%)。
非営利性が徹底された法人の要件
- 定款に剰余金の分配を行わない旨の定めがあること。
- 解散時に残余財産を国や一定の公益的な団体に贈与することを定款に定めていること。
- 上記1及び2の定款の定めに違反する行為を行ったことがないこと。
- 各理事について、理事とその理事の親族等である理事の合計数が、理事の総数の3分の1以下であること。
共益的活動を目的とする法人の要件
- 会員に共通する利益を図る活動を行うことを主たる目的としていること。
- 定款等に会費の定めがあること。
- 主たる事業として収益事業を行っていないこと。
- 定款に特定の個人または団体に剰余金の分配を行うことを定めていないこと。
- 定款に解散時の残余財産が特定の個人または団体に帰属する旨の定めがないこと。
- 特定の個人または団体に特別の利益を与えたことがないこと。
- 各理事について、理事とその理事の親族等である理事の合計数が、理事の総数の3分の1以下であること。
損益計算書等の提出制度
非営利性が徹底された法人及び共益的活動を目的とする法人は、原則として事業年度終了の日の翌日から4ヶ月以内にその事業年度の損益計算書または収支計算書を主たる事務所の所在地を管轄する税務署に提出しなければなりません。
ただし、以下に該当する法人は、上記の書類を提出する必要はありません。
- ・法人税の確定申告書を提出する法人
- ・上記以外の法人で年間の収入金額の合計額が8,000万円以下の法人
【参考】一般社団法人の基金
一般社団法人の「基金」は、一般社団法人の活動の原資となる資金を調達し、その財産的基礎の維持を図るために作られた制度です。
基金の定義
一般社団法人の「基金」は、「一般社団・財団法人法の規定により一般社団法人に拠出された金銭等であって、当該一般社団法人が拠出者に対して返還の義務を負うもの」と定義されています。
基金の拠出者を募集するための要件
基金の拠出者を募集するためには、定款で基金の拠出者を募集することができる旨を定める必要があります。
具体的には、次の事項を定めなければなりません。
- 基金の拠出者の権利に関する事項
- 基金の返還の手続
基金として集めた金銭等は、法人の活動の原資として自由に活用することができます。


